2023年08月9日
AIとプログラムの違いとは?それぞれの特徴や仕組み・共通点について解説
仕組みや用途が似ていることから混同されがちな「AI」と「プログラム」ですが、細かく見ていくと両者には明確な違いがあります。
そこで今回は、「AIとプログラムの違いとは具体的に何なのか?」という方に向けて、AIとプログラムの概要とともに、それぞれの違いや共通点などについて分かりやすく解説していきます。
AIとプログラムの特徴や違いを理解した上で、ビジネスに取り入れたいとお考えの方に役立つ内容となっていますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
AI(人工知能)とは
AIとは「Artificial Intelligence(アーティフィシャル インテリジェンス)」の略で、日本語では「人工知能」を意味します。実は、この「AI」という言葉に明確な定義がされている訳ではないのですが、一般的には人間が持つ知能を模して作られたコンピューターのシステムや技術などを指すことが多いようです。
AIの仕組み
人工知能という言葉の通り、AIは人間の思考プロセスを模して作られており、学習・分析・判断など、人間の脳と同じような処理が可能となっています。
基本的には、過去のデータから学習して推論するという仕組みになっており、AIを活用する際には映像や音声など目的に合わせた大量の学習データを読み込ませる必要があります。AIは学習データが多ければ多いほど精度が上がり、その膨大な量の学習データから一定のルールやパターンなどの傾向を見つけ出すことで、自動的に特定のタスクを行うことができるようになります。
関連記事:「AI・機械学習・ディープラーニングの違いとは?AI導入するなら知っておきたい基礎知識」
プログラムとは
人間の脳と同じような処理ができるAIに対して、プラグラムとは、コンピューターがどのような工程で処理を行うのか手順を書いた指示文のことを指します。
もう少しわかりやすい例にすると、料理のレシピがイメージしやすいかもしれません。例えばカレーを作る時は、まず野菜を切ってから鍋で炒めて、水を加えて煮えたらカレー粉などで味を付ける…など、調理の手順を細かくレシピに書きますよね。そのレシピのように、コンピューターが処理すべき手順を書いたものが“プログラム”と呼ばれるものになります。
プログラムでできること・できないこと
プログラムは、指示された命令に従って決められた作業のみを行うことが可能です。そのため、工程や手順が決められている処理であれば、人間よりも速く正確に処理することが可能です。
しかしその反面、人間側で手順を詳細に全て提示する必要があるため、決められた処理以外の対応はできません。例えば、記述間違いなど人間側の指示自体が間違っていたり、工程が決められていない、つまり指示されていない作業などにおいては、人間側が期待するような結果は出せません。
AIとプログラムの違いとは?
AIとプログラムについてそれぞれの特徴をお話しましたが、具体的な違いとしては、どのようなものがあるのでしょうか?
ここからは、AIとプログラムの代表的な違いについてポイントごとに分かりやすく解説していきます。
AIとプログラムの違い①:目標に至るまでの手順
AIとプログラムでは、目標達成・課題解決に至るまでの手順に大きな違いがあります。
というのも、前で少し触れましたが、AIとプログラムではそもそもの仕組みが大きく異なるためです。
AI | データベースに蓄積された情報を自ら学習して予測・推論を行う |
プログラム | 人間があらかじめ指示した工程・手順に従って処理する |
上記のようにAIは、過去のデータから一定の傾向を見つけ出すなど、目標に向けて手順を自ら導き出して処理を行っていきます。データを与えることで自動的に学習を行うことができるため、未知のデータに対してでも予測や推論を行うことが可能です。
それに対して、プログラムは指示された命令に従って決められた作業のみを行う仕組みであるため、「○○の次は△△をする」「もし□□の場合は●●をする」など、人間側から目標までの工程について一つ一つ指示を出さなければいけません。正確な指示があればその能力を発揮することができますが、不測の事態や条件の定義付けが難しい場合の処理などにおいては期待するような結果を出すことはできません。
AIとプログラムの違い②:人間が予測できない成果が出せるか
AIとプログラムには、人間が予測できない成果が出せるかという点においても違いがあります。
前述の通り、プログラムは目標までの手順があらかじめ人間によって全て指示されているため、決められたもの以上の結果を出すことはできませんが、AIであれば膨大なデータを学習することで人間が教えていない未知のデータに対して予測や推論ができるようになるため、これまで予測しえなかった結果を導き出すことも可能です。
もちろん、その結果が当初の目標以上の成果になるかはケースバイケースなので、プログラムでも予想以上の成果を出すこともゼロではありませんが、従来のプログラムでは処理できなかったタスクでもAIの学習技術を活用することによって、人間の予測を超えた成果は出しやすくなります。
AIとプログラムの違い③:原因解明がしやすいかどうか
AIとプログラムの違いには、原因究明のしやすさもあります。
プログラムは、全て人間側で手順を一つ一つ指示していく必要があるため、期待する成果が得られない場合に「ここが間違っている」「この指示が影響してこういった答えが出た」など、原因解明がしやすいという特徴があります。
それに対して、コンピューターが高度な計算に基づいて自動的に答えを導き出すAIは、答えを出すまでの思考のプロセスが見えにくく、期待する成果が得られない場合に、「何故そうなったのか」「どうしてそう判断したのか」などが分からないため、原因が解析しづらいという特徴があります。基本的にAIの精度を上げるためには、ひたすら正解パターンを学習させるなどで対処するほかないのですが、高度な処理が可能であるからこそ、原因解明のしやすさという点においては違いが出ます。
関連記事:「AIにおける問題点をわかりやすく解説!課題を把握した上でスムーズに導入するポイントとは?」
違いの多いAIとプログラムにも共通点はある
ここまで、AIとプログラムにおける違いについてまとめてきましたが、反対に共通点も存在します。
では、どういった共通点があるのか、分かりやすく解説していきます。
AIとプログラムの共通点①:100%ではない
AI・プログラムの両者とも、コンピューターによって処理を行うため、間違いのない100%の答えが導き出せると思いがちですが、原理的にも常に100%とはいきません。時には誤検出や誤作動を起こしてしまったり、人間の能力・精度を下回ってしまったりする場合もあります。
また、AIは膨大な量のデータを自動的に学習し、計算上で最も合理的だと判断して答えを導き出す仕組みとなっているのが特徴です。そのため、人間の感情や倫理感などを一切考慮せずに、あくまでも計算上で最も合理的だと判断して答えを出すため、その結果が人間の期待するものになっていないケースも出てきます。
もちろん処理する分野や内容にもよりますが、AIでもプログラムでも、常に人間の求める100%の結果が出る訳ではない点に注意しておきましょう。
AIとプログラムの共通点②:人の手による改善が必要
AIとプログラムには、人の手による改善が必要であるという共通点もあります。
人の手で全ての工程を指示する必要があるプログラムはもちろんですが、AIにおいても、導入後は全てAIが自動的に処理していくため放置しておいても良い…という訳にはいきません。
AIには、自らが試行錯誤を繰り返して答えを導き出す“強化学習”と呼ばれる手法はありますが、データの価値を最大限に発揮し、最適な答えを導き出すには、やはり人の手による改善が必要となります。
例えばAIカメラを例にとった場合、周囲の照明環境や画角に中に映りこむ被写体など、長いスパンで見ると少しずつ変化していくこともあるため、人の手によって追加でデータを読み込ませて学習させたり、画角を調整したりするなどが必要になる場合もあります。
そういった面から見ると、AIにせよプログラムにせよ、人の手による改善や調整が必要な点は一つの共通点だと言えます。
AIとプログラムの共通点③:デバイスの性能に影響を受ける
AIとプログラムの共通点には、処理がデバイスの性能に影響を受けるという点もあります。
例えば、AIカメラで画像認識を行う場合、撮影場所が暗かったり逆光になってしまったりすると対象物がはっきり映らないためAIが上手く処理できず、分析結果に影響が出ます。
周囲の撮影環境による影響もそうですが、どれだけ高性能なAIを搭載していてもカメラ自体の性能を超える処理は難しため、そういった点では、プログラムだけでなくAIにおいても、デバイスの性能に律速される点は共通となります。
関連記事:「AIにも苦手なことがある?AIの得意分野・不得意分野とは?」
AIとプログラムの違いを理解してビジネスに活用!
過去のデータから学習して推論するAIと、人間が指示した工程・手順に従って処理を行うプログラム。
その仕組みをよく理解していないと混同してしまいがちではありますが、ビジネスで活用する場合は、両者の特徴を理解した上で自社の業務に組み込んでいくのが大切です。
特にAIは、今後も更なる技術の進化が見込まれていることもあり、競合との差別化や将来的なビジネスの発展を見据えて導入を進めている企業も少なくありません。
もし自社の業務にAIが活用できないか検討されている場合は、ぜひ一度専門的な知識を持ったプロに相談してみるのをおすすめします。AIの活用に長けた専門家であれば、社内とは違った角度からの解決方法を導き出せるかもしれません。
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