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2023年03月24日

  • コラム

エッジAIを自社の課題にどう活かす?実際の導入事例と業種ごとの活用方法

エッジAIを自社の課題にどう活かす?実際の導入事例と業種ごとの活用方法

近年では、幅広い分野において導入が進んでいることから、ますます注目を集めているエッジAI。

エッジAIを活用することで、コストやセキュリティの面などで多くのメリットがあるのは知っていても、「自社に導入する際にどう活用することができるのか」「具体的な事例を参考にしたい」などと思っている方も多いのではないでしょうか?

そこで今回は、エッジAIとは何かをまとめるとともに、エッジAIがどう業務に取り入れられているのか、各分野の導入事例を基に解説していきます。

幅広い分野で導入が進むエッジAI

エッジAIはエッジコンピューティングの一種で、カメラやスピーカーなどの“エッジデバイス”と呼ばれる端末にAI(人工知能)を搭載したもののこと。

具体的には、現場に設置されたエッジデバイスで映像や音声などのデータを収集し、AIによって処理することで、異常を発見したり予知保全を行ったりするなど、端末一つで人間の脳で行うような判断を下すことができるのが特徴です。

このエッジAIの用途には様々なものがあり、例えば、リアルタイムでの判断を必要とする車の自動運転や工場での検品作業などに活用されているほか、小売店や商業施設におけるマーケティングリサーチ、入退室管理や事件・事故防止などのセキュリティとしても活用されており、近年、多くの企業が導入を進めています。

エッジAIにはどんなメリットがある?

エッジAIには、端末内でAI処理を実行することにより多くのメリットが得られます。
ここでは、そのエッジAIがもたらすメリットについて、大きく3つに分けてまとめていきます。

リアルタイムで判断可能

エッジAIは端末内でAI処理を行うことで、リアルタイムでの解析が可能なのがメリットとなります。

インターネット回線を通してデータの送受信を行う時間が削減できるだけでなく、サーバーの混雑状況に影響を受けることもないため、特にスピードが求められている分野では、レスポンスの速いエッジAIが適しています。

コストの削減

エッジAIは、端末だけでデータ収集からAI処理までができるため、人件費だけでなく、処理に必要なパソコンやモニター、それに伴う配線などの設備投資を最小限に抑えることも可能です。

また、データの送受信がないことで通信コストが削減できるという点もメリットの一つとなります。

セキュリティリスクの軽減

エッジAIは、端末内部で処理が完了し、外部にデータを送信する必要がないため、情報漏洩のリスクを軽減することができます。

特に、取得した映像や音声などの元データを端末内で破棄することもできるため、情報漏洩を回避するだけでなく、街頭の歩行者や店舗の来店客などへのプライバシーにも配慮が可能です。

関連記事: 「エッジAIとは?クラウドAIとの違いや自社の課題に合わせた選び方

実際の現場ではどう使われている?エッジAIの活用事例

では実際にエッジAIは、企業における業務の中でどのように活用されているのでしょうか?

ここでは、私たちVieureka(ビューレカ)が展開するエッジAI「Vieurekaカメラ」の事例についてご紹介します。

入退室管理システムでハンズフリー通過が可能に

エッジAIの活用事例 入退室管理

衛生管理が義務化されている食品工場では、「いつ・どこの部屋に・だれが入ったのか」の管理が必要です。しかし、従来の顔認証やICカードによる入退室管理では、帽子やマスク、ゴーグルを付けたまま作業する従業員の管理が難しいという課題が。

そんな課題を解決したのが、エッジAI「Vieurekaカメラ」を活用したビーコア株式会社様の入退室管理システムです。

ユニフォームなどに貼り付け可能なカラービット入館証の検出からクラウドへのデータ送信までを全てエッジAIカメラが自動で処理することで、入館証をカメラに手でかざす必要がなくなり、ハンズフリー通過が可能に。食品工場だけでなく幅広い業種の入退室管理に活用されています。

ビーコア株式会社様の事例詳細はこちら

不織布の不良品を検知

エッジAIの活用事例 不良品検知

こちらは、株式会社KYOSO様とトーア紡マテリアル株式会社四日市工場様の研究開発の一環で、不織布製造における表面の汚れや異色繊維の飛び込み検知に、エッジAI「Vieurekaカメラ」を活用いただいている事例です。

現在、作業員が目視で行っている作業を省力化するためのもので、リアルタイムの検品状況を数値で確認できるだけでなく、異常を検知した際に通知が送られるように設定されています。

株式会社KYOSO様の事例詳細はこちら

白杖・車椅子の方の転落や車両との接触を防止

株式会社アプリズム様では、鉄道の駅の改札において白杖および車椅子をご利用のお客さまをエッジAIカメラで検知し、駅係員にリアルタイムで通知する実証実験が行われました。

駅の改札付近に、画像認識が可能なエッジAI「Vieurekaカメラ」を設置。白杖または車椅子をご利用の方が改札を通過したかどうかを自動で検知し、駅係員が利用する業務用携帯電話などの端末にリアルタイムで通知することで、線路への転落や車両との接触を防止するなど、より安心・安全な環境への取り組みとして活用されています。

株式会社アプリズム様の事例詳細はこちら

売場における顧客の購買行動を分析

アイス売場の購買行動分析におけるAIカメラ活用事例

株式会社ロッテ様では、アイス売場の購買行動分析にエッジAIカメラを活用されています。

アイス売場と併せて店舗内の入口や主通路などにエッジAIカメラを設置。

主通路からアイス売場への買い物客の流入状況について、動線データとして視覚化し、来店人数、アイス売場への到達人数、アイス売場における商品接触データなどを総合的に分析するなど、エッジAIを店舗マーケティングに反映されています。

株式会社ロッテ様の事例詳細はこちら

医療・介護施設における転倒・転落を検知

エッジAIの活用事例 転倒・転落リスク対策

株式会社ケアコム様では、医療・介護施設での転倒・転落リスク対策や離床センサーの誤報軽減対策として、エッジAIを活用した見守りカメラシステムを展開されています。

一歩間違えれば転倒・転落につながってしまう高齢者の危険な動作を、エッジAIの技術を活用してあらかじめ検知し、ナースコールNICSS親機やスマホ、PHSに通知することで、施設内での事故防止に貢献しています。

株式会社ケアコム様の事例詳細はこちら

どんなデータをどう使う?業種ごとのエッジAI活用例

幅広い分野で活躍!エッジAIの活用例

ここまでエッジAIの実際の活用事例をご紹介しましたが、ご紹介した事例以外にも、幅広い分野でエッジAIの導入が進められています。

ここでは、業種ごとにどのようにエッジAIを活用することができるのかをまとめてみました。

小売店でのエッジAI活用例

性別 ・ 年齢 ・ 動線 ・ 滞在時間 ・ コンバージョン …など

小売店などでは、エッジAIによって来店客の人数や属性を把握するだけでなく、店内での行動分析をすることで、それらを店舗運営やマーケティングに役立てることができます。

例えば、エッジAIカメラを入口や通路、売り場などに設置すれば、入口を通過したうちの何人がこの売り場に来たのか、そして何人がこの棚の前に来たか、さらにはその棚の商品を手に取ったかどうか…など、詳細に把握できるようになるため、どういった人物がどんな商品を好むのか、また顧客が手に取りやすい位置や顧客の目に留まりやすい商品棚のレイアウトなどを分析することが可能になります。

商業施設でのエッジAI活用例

来店客の属性(性別・年齢など)・ 動線 ・ 視線の動き ・ 車のナンバー・車種 …など

エッジAIが活用できるのは、小売店だけでなく各種店舗の集まる大型ショッピングセンターやデパートなどの商業施設でも同様です。

例えば、商業施設の駐車場などでエッジAIを活用するなら、ナンバーや車種から商圏分析や来店客層(富裕層、低所得層、事業者か個人か)の把握が可能。さらに、エッジAIカメラの“視線検知”機能を使えば、顔の向きや視線を解析することで、従来では難しかったサイネージの視聴調査もできるため、より効果的な告知方法や設置場所の検討にも効果を発揮します。

オフィスでのエッジAI活用例

入退室した人物 ・ 入退室した時間 ・ 在室状況 …など

エッジAIは、オフィスや工場などのセキュリティとして活用できるのはもちろん、入退室管理の効率化にも有効です。

例えば、あらかじめエッジAIカメラで入退室が必要な人物の顔認証を行っておくことで、人物ごとの入退室履歴が記録されたり、その人物の在室状況などをリアルタイムで把握したりすることもできるため、入退室管理が自動化でき、人件費などのコスト削減にもつながります。

医療・福祉施設でのエッジAI活用例

夜間の動き ・ トイレ回数 ・ 入居者の動線 …など

エッジAIは、医療・福祉施設でも入居者の動線やトイレの回数、夜間の動きなどを把握し、事故の原因になりやすい状況や場所を特定するなどで活用されています。

また、入居者の動きなどを分析することで、あらかじめ転倒事故などを検知してスタッフに通知するなど、安全性の向上にも役立てることができます。

関連記事:「AIカメラにできることは?検知の種類を知って業務の効率化を実現!

エッジAIの活用に悩んだら

今回ご紹介した事例でも分かるように、エッジAIは多種多様な業種で活用されています。

エッジAIが持つ多彩な検知機能を駆使すれば、これまで解決が難しかった課題においても、解決の兆しが見えるかもしれません。もし、エッジAIについて「もっと具体的にできることが知りたい」「誰に相談していいのかわからない」といったお悩みをお持ちの場合は、ぜひ一度、エッジAIの専門家に相談してみてはいかがでしょうか?

エッジAIカメラの導入ならパナソニック発のVieurekaにご相談を!

パナソニックの研究開発部門から発足した私たちVieureka(ビューレカ)は、「世界の今をデータ化する新たな社会インフラを創造」をミッションに掲げ、開発・導入・運用などのハードルを下げるプラットフォームを提供しています。

高性能なCPUを内蔵したエッジデバイス「Vieurekaカメラ」をはじめ、これまで取得できなかった情報をデータ化して活用する「Vieurekaプラットフォーム」や顧客行動や商品の陳列状況をデータ化する「来客分析サービス」など、お客様のご要望に沿った導入のご提案をさせていただきますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。