2023年04月24日
セキュリティリスクや人材不足…IoTが抱える問題点とその対策とは
近年、専門家たちの間だけでなく多くのメディアでも注目を集めているIoT。
IoT技術の活用は、私たちの生活をより便利にするだけでなく、ビジネス面においてもコスト削減や労働力不足の解消などのメリットも多いことから、導入する企業も年々増加しています。
しかし、IoTにはメリットが多くあるとはいえ、一つも問題点がないわけではありません。そこで今回は、IoTが抱える問題点をまとめるとともに、その問題点への対策について解説していきます。
目次
IOT(アイオーティー)の仕組み
「IoT(Internet of Things)」とは、 “モノ”をネットワーク経由で繋ぐ仕組みを指します。
もう少し具体的にお伝えすると、通信機能を搭載したカメラやスピーカーなどのデバイスをネットワークで繋いでコントロールすることによって、「モノの動きや状態の確認」「遠隔操作」「データ共有」などを行うことが可能となります。
【IoTの3つの機能】
- モノを遠隔操作する
- モノの動きや状態を把握する
- モノ同士でデータ共有ができる
これらのIoTの仕組みを活用することによって、私たちの身の回りの利便性を向上させるだけでなく、ビジネス面においてもコスト削減や生産性向上などメリットが多く、今後、IoTによるビジネスの活性化や課題解決に向けて期待が寄せられています。
IoTの基礎知識やIoTがもたらす効果などについては、こちらの「IoTとは具体的に何?活用例を交えてわかりやすく解説!」にて詳しく解説していますので、参考にご覧ください。
IoTが抱える6つの問題点
IoT技術の活用で身の回りの利便性が大きく向上することもあり、IoT化にはメリットしかないように感じますが、一つも問題点がないわけではありません。
ここでは、IoTが抱える問題点とは一体何なのか、6つのポイントについて解説していきます。
IoTの問題点①:セキュリティリスク
IoTデバイスがインターネットに接続する以上、サイバー攻撃などの外部から攻撃されるリスクは避けては通れません。
世間ではデータの改ざんや情報漏洩などが度々ニュースとなっていますが、IoTの場合は、さらに攻撃が現実世界に影響を及ぼす可能性があります。
例えば、製造工場にIoTを活用していた場合、そのシステムが攻撃されれば製品の生産がストップしてしまったり、機器の制御ができなくなれば、大きな事故を引き起こしてしまう可能性もあります。また医療・介護施設のシステムに攻撃されれば、最悪の場合、人命に関わってしまうことも。
IoTデバイスが普及するに伴って、セキュリティリスクも増大するため、どのようにリスクを軽減するかという点は課題の一つだと言えます。
IoTの問題点②:通信障害
IoTにはセキュリティリスク以外にも、インターネットに接続するということで予期せぬリスクの可能性もあります。
例えばLTE回線を利用している場合、まれに通信キャリアで通信障害が起きることがありますが、その際にデータ欠損が起きてしまいます。また、Wi-Fiを使用している場合も、電波干渉で正常にデータが送受信できなくなるということも。
IoTでは、機器の種類やメーカーによって様々なサービスを使用してシステムを構築しているため、自身のあずかり知らぬところで何かしらの障害が起きている可能性があることも問題点の一つとなっています。
IoTの問題点③:電力供給
IoT機器を動かすためには電力が必須ですが、電力供給が止まるとデータの送受信だけでなく処理も途絶えてしまうのが問題点の一つでしょう。
IoT機器に限らず、冷蔵庫やエアコンなどの普通の家電製品と同様に、電気機器に頼るということは同時に電力に頼ることになるため、特に安全や人命に関わるシステムを運用している企業は、万が一、災害や故障などで電力供給が途絶えてしまった場合にどう対応するのか考えておく必要があります。
IoTの問題点④:機器の故障
IoT機器に限った話ではありませんが、どんなに高度なシステムであっても機械である以上、故障の可能性はゼロではありません。
特にIoTカメラの場合は、屋外の潮風や土埃にさらされる場所などの悪環境に設置されることもあります。例えば、農業で農作物の育成状況を管理する際にビニールハウスに設置することがありますが、ビニールハウスの中は高温になりがちであるため、温度によっては機器に影響が出る可能性があります。また畜産業なら土埃だけでなく藁などが舞う環境に機器を設置することもあるため、それらが機器の隙間に入れば故障の原因になりやすいでしょう。
IoTの問題点⑤:IoTに精通した人材の不足
IoT技術を活用してあらゆるデータを取得したとしても、あくまでもIoTは手段の一つであり、そのデータを活用するのは結局のところ人間です。
IoT技術を最大限に活用するなら、どんなデータを集めて、その分析結果をもとにどんな施策を打ち出すのかなどを導き出す人材が必要ですが、実際のところ、まだ知識やスキルのある人材を確保するのが難しいというのも課題となっています。
また人材不足の背景には、スキルのミスマッチという問題点もあります。
IoTに詳しい人材がいても小売や農業などの分野には詳しくない、反対に、その分野に詳しい人材はIoTに詳しくないなど、IoTに関するサービスの供給側と需要側でミスマッチが起こっていることも課題の一つだと言えるでしょう。
IoTの問題点⑥:機器の管理
IoTには、機器の総数が増えるほど管理が煩雑になるという点も課題の一つです。
IoTを利用する場合、“一部店舗のみ”や“一部の売り場のみ”に導入するのではなく、基本的には全店舗・全室・全売場などの広い範囲で機器を導入しなければ、IoTが持つ機能を最大限に活用するのが難しいと考えられています。
しかし、IoT機器の総数が増えるに伴って、機器の管理にも手間がかかるという問題も出てくるため、そういった場合は、機器類を一元管理することができるサービスを検討する必要があります。
IoTが抱える問題点、その対策は?
ここまでIoTの 6つの問題点について解説してきましたが、それらの問題点に何か対策はあるのでしょうか?
ここからは、IoTが抱える問題点への対策についてまとめていきます。
ソーラーパネルの活用
IoTには電力供給に関する課題がありましたが、この問題点への対策として、「エネルギーハーベスティングの活用」があります。
代表的なものにソーラーパネルがありますが、「エネルギーハーベスティング」とは、周囲の環境から熱や振動、光などの微小なエネルギーを収穫して電力に変換する技術のこと。
この技術を活用すれば、本来の電力源からの供給が止まってしまっても周囲の環境から電力を生み出すことができるため、IoT機器の消費電力によっては万が一の際の解決策になり得ます。
人材の育成
IoTは比較的新しい技術であることもあり、IoTに精通した人材が既に不足していますが、今後もIoTが普及するにつれて、しばらくは業界内の人材不足の状況が継続する可能性があります。その問題点を解決するためには、人材の育成が必要不可欠となります。
また、IoTに精通している人材がいても需要側の業界には詳しくない、反対に、業界側の人材はIoTに詳しくないなど、サービス供給側と需要側のミスマッチを防ぐためにも、各業界の顧客価値をきちんと理解できるよう、その業界から人材採用をするなど、双方ともに先を見越した人材の育成が必要です。
要件に対する可用性の許容
IoTには多くのメリットがあるとはいえ、完璧で万能なわけではありません。そのため、IoTを挿入する際には、通信障害や機能面、リスクなどを踏まえて、要件に対する可用性がどこまで必要か理解をしておくことも重要です。
IoTに限らず、特に日本人は完璧を目指しがちで、小さな障害や遅延でも気にしてしまう人は少なくありません。しかし、在来線や新幹線が1分の遅れもなく発着するのが本当に必要なのか…という考え方と同様で、ユースケースからきちんと要件定義をした上で、このレベルの可用性であれば運用には問題ないという理解と判断が必要となります。
一元管理プラットフォームの採用
IoT機器の総数が増えるに伴って、機器の管理が煩雑になるという問題点についてお話しましたが、そういった場合は、機器類を一元管理することができるサービスが問題解決の一つの手段となります。
例えば、Vieurekaのプラットフォームサービスであれば、世界中のカメラの最新状態を遠隔からでも一元管理が可能。
サービス内にはカメラを遠隔から保守・管理するための「Vieureka Manager」が含まれており、
- ブラウザ上でカメラの状態監視や操作
- カメラ内で動作している画像解析アプリのバージョン管理や制御
…などの機能があるため、機器の総数が増えることで煩雑になる機器の操作やバージョン管理なども、クラウド上で一括して管理が可能に。カメラ設置後は現地へ行くことなくリモートで保守・管理・アップデートできるため、IoTの問題点となっていた運用の煩雑さを解消します。
IoTをビジネスに活かすために
IoTを導入する際は、どの分野においても事前の準備が必要です。
では、自社のビジネスで上手く活用するためにはどのような点に注意しておけばいいのでしょうか?
IoT導入の目的を明確にする
IoT導入には様々なメリットがあるからと言って、導入すること自体が目的とならないようにしましょう。
目的や目標がないままIoTを導入しても、「思ったほど効率化できなかった…」「導入費用だけかさんで売上は変わらない…」という事態に陥る可能性も。そのため、IoTを導入する際には、
- 何を解決するためにIoT導入が必要なのか
- なぜIoTでなくてはいけないのか
- 具体的な目標地点はどこか
…などをあらかじめ明確にしておくことが大切です。
長期的な視野で取り組む
IoTを活用した取り組みでは、長期的な視野で計画を立てておくことも重要です。
IoTは、導入すればすぐに売上増加や生産効率の向上が狙えるというわけではなく、継続的にデータを取得・分析する必要がある場合も多いため、IoT導入の際には、導入費用だけでなくランニングコストも踏まえて長期的な視野で事業計画を立てるのをおすすめします。
専門家に相談する
IoTを自社のビジネスに活かすためには、そのIoTに関する知識もちろん、分析後のデータを十分に活かすための専門知識が必要となります。
もし社内に知識のある人材がいない場合は、IoTの導入からデータ分析・活用までを一貫してサポートできる専門家に相談しておいた方が安心です。IoTの導入サービスを行っている会社であれば、分析やその後の活用までをパッケージで提供していることも多いため、安心して任せることができるかどうか、一度問い合わせてみてはいかがでしょうか?
IoTの導入ならパナソニック発のVieurekaにご相談を!
パナソニックの研究開発部門から発足した私たちVieureka(ビューレカ)は、「世界の今をデータ化する新たな社会インフラを創造」をミッションに掲げ、開発・導入・運用などのハードルを下げるプラットフォームを提供しています。
高性能なCPUを内蔵したエッジデバイス「Vieurekaカメラ」をはじめ、これまで取得できなかった情報をデータ化して活用する「Vieurekaプラットフォーム」や顧客行動や商品の陳列状況をデータ化する「来客分析サービス」など、お客様のご要望に沿った導入のご提案をさせていただきますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。