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2023年10月27日

  • コラム

AIによる画像解析技術とは?代表的な手法や技術の活用事例

AIによる画像解析技術とは?代表的な手法や技術の活用事例

AIによる画像解析技術が、実証実験(PoC)を経て様々な分野で普及するフェーズに突入していることもあり、「自社のビジネスに活用できないか?」と検討されている方も少なくないでしょう。

そこで今回は、AIによる画像解析技術とはどのような技術なのか、その特徴や手法について解説します。またビジネスの各分野において、画像解析技術がどのように活用されているのかについてもご紹介します。

AIによる画像解析の技術とは?

AIによる画像解析の技術とは?

AI画像解析とは、AI(人工知能)を搭載したカメラなどで撮影した画像・映像からコンピューターが色や形状などの特定の要素を抽出・分析し、その結果をもとに様々な判断を行う一連のシステム及び技術を指します。

私たちが何かモノを見た時は、その対象物が持つ色・形状・質感・長さ・面積などの情報と、過去の経験から得た情報を照らし合わせて、その対象物が一体何かを判別しますが、画像解析技術とはまさに人間がモノを認識する際の仕組みに似ていると言えるでしょう。

例えば、私たちが猫と犬が写った画像を見た時、身体的な特徴や行動パターンなどから、対象物を猫や犬だと判断します。画像解析では、この一連の処理をAIが行うことによって対象物を特定していきます。

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画像解析技術の代表的な手法

画像解析には、主に「画像分類」「物体検出」「画像セグメンテーション」の3つの技術が使用されています。それぞれ詳しく見ていきましょう。

画像解析技術①:画像分類

画像分類とは、AIカメラで撮影した画像に写っている対象物をカテゴリ別に分類する技術です。

AIに画像を分類させるには、あらかじめ物体の特徴について学習させる必要があります。例えば猫であれば、4本足・尻尾がある・背中が柔らかい・肉球を除くほぼ全ての部位から毛が生えている……といった具合に、対象物が写った画像を準備してその特徴をAIに学習させてから分類する手法となります。

ビジネス分野では、この画像分類の解析技術を、製造現場で不良品を判別したり、来店客の属性を判別したりといった業務に役立てています。

画像解析技術①:画像分類

画像解析技術②:物体検出

物体検出とは、画像に写っている特定の物体を検出する画像解析技術です。具体的には、「物体がどこにあるのか」「何が写っているのか」「どれくらいあるのか」など、物体がある位置や種類、個数といった要素を瞬時に判断する技術を指します。

この技術を使用すれば、物体の位置を絞り込むことができたり、また対象物以外の物体の位置や個数も検出することができるため、例えば製造現場での外観検査や、店舗での来店客のカウントなどに応用が可能となります。

もっと身近な例で言うと、文字や図解が書かれた紙をカメラで撮影してテキスト化する機能も、物体検出の技術が使われたものです。

ナンバープレートの情報を取得する画像認識技術
ナンバープレートの情報を取得する画像認識技術

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画像解析技術③:画像セグメンテーション

画像セグメンテーションとは、画像に映り込んでいる物体を識別し、ピクセル単位で領域を抽出する技術です。簡単に言うと、人と乗り物が一緒に写っている画像の場合、どこからどこまでが人か、どこからどこまでが乗り物かといったことを、ピクセル単位でラベリングしていきます。

画像セグメンテーションは「セマンティック・セグメンテーション」や「ピクセルラベリング」とも呼ばれ、他にも特定の物体を分類する「インスタンス・セグメンテーション」、物体と領域の両方を分類する「パノプティック・セグメンテーション」といった技術があります。

この画像セグメンテーション技術は、例えばエコーやCTなどの画像から疾患を発見したり、インフラ設備などの異常を発見したりと幅広い分野で応用されています。また歩行者や車線、信号機、道路標識などを自動で検知する自動運転システムも、画像セグメンテーションの技術が活用されているのです。

画像解析技術を利用するメリットは?

画像解析技術を利用するメリットは多岐にわたります。

例えば検品作業や歩行者カウントなどの定型作業を画像解析によってオートメーション化することで、人手不足の解消やコストの削減が実現できます。また、従業員のスキルに左右されることがないため品質の向上・維持にも繋がりますし、従来の方法では気づくことができなかった異常や法則性などが発見できる可能性もあります。

さらに、転落などの危険を伴うインフラ設備の点検業務においても、画像解析技術とドローンによる空撮を組み合わせることによって解決できると開発や検証が進められています。

しかしメリットばかりではなく、導入・運用にコストがかかる点や、AI学習用のデータを用意するのに手間がかかる点、AIと言えど誤検出や検出漏れの可能性がゼロではない点などのデメリットもあるため、最終的な判断は人間が行ったり、画像解析の技術に精通する専門家に伴走を依頼するといった対策を取る必要があるのも事実です。

そのため、画像解析技術を活用する際は、メリット・デメリットをよく理解した上で、コストや精度について検討していくと良いでしょう。

AIによる画像解析技術の活用例

画像解析技術の活用例

AI画像解析が一体どのようなシーンで活用されているのか、ここでは画像解析技術が活躍している現場や具体的なソリューションについてご紹介します。

製造分野での画像解析技術の活用例

現在、画像解析技術の実用性が高いとされる場所が製造工場です。工場内は照明環境を一定にしやすく、また画像認識しやすいようにAIカメラが設置できる上、さらに作業内容もルール化しやすいため、他の分野と比較して画像解析技術が導入しやすい環境だという点が理由として挙げられます。

製造工場では、万が一不良品が発生した場合、製品の手直しや廃棄、それに伴う追加業務の発生で、コストや労力が発生することが課題の一つとなっています。

AI画像解析技術を導入すれば、人為的ミスによる不良品の発生を軽減することができるので、品質の低下や損失コストの発生を抑制することに繋がりますし、人手不足の解消や生産性の向上にも貢献します。

【製造分野での画像解析技術の活用例】

  • 傷や汚れなど欠陥の検知
  • 異物混入の検知

物流分野での画像解析技術の活用例

画像解析技術は物流分野でも活用されています。特に物流分野で大切な役割を担っている物流倉庫では正確かつ迅速な作業が求められますが、スピードを重視するとピッキングミスや異物混入などの問題が発生しがちですし、また正確さを重視すると業務効率が低下する恐れがあります。

物流業務に画像解析技術を活用すれば、ヒューマンエラーを大幅に軽減することが実現する上、業務効率を向上させることも可能となります。さらに、人手不足の解消や従業員の負担軽減にも貢献します。

【物流分野での画像解析技術の活用例】

  • 棚入れ・棚だし作業の自動化
  • ピッキング・運搬の自動化
  • フォークリフトの操作管理
  • 異物混入の検知

医療分野での画像解析技術の活用例

AIによる画像解析技術は医療分野でも急速に活用が進んでいます。

レントゲンやエコー、MRI、CTといった画像から所見を拾い上げる放射線科は、各診療科の医師が適切な治療を行うために重要な役割を果たしています。しかし、撮影・検査・読影・レポート作成と放射線科内での業務は多岐にわたり、また見落としがないように隅々まで丁寧に確認しなければならず、業務の負担が大きいことが問題となっています。

読影業務にAI画像解析技術を導入することで、疾患の見落としを防ぐだけでなく、放射線科の負担を軽減するとして急速に実用化が進んでおり、今後は世界中の医療現場で導入が進むと考えられています。

【医療分野での画像解析技術】

  • 読影業務の支援
  • ポジショニング作業の自動化
  • リアルタイム病変検出

社内や店舗での画像解析技術の活用例

週ごとの1日当たりの平均来店人数
週ごとの1日当たりの平均来店人数

社内や店舗などでは「人の動き」を管理・分析するために画像解析技術が役立てられています。

例えばオフィスや工場、会議室の入り口に画像解析技術が搭載されたAIカメラを設置すると、人物ごとの入退室履歴やリアルタイムでの在室状況を管理することができ、従来のような目視による入室管理と比べて安定した精度が維持できるため、セキュリティ面の強化にも貢献します。

また、店舗入り口や店内通路、商品棚などにAIカメラを設置すれば、店舗マーケティングに不可欠な来店客数のカウントや顧客属性、動線といったデータを自動で取得することができるので、施策の実行にリソースが充てられますし、より高い精度でデータが得られるようになるため、これまで見えなかった課題に気づくこともできるでしょう。

【社内や店舗での画像解析技術】

  • 顔認証による入退室管理
  • 来店者の属性分析
  • 混雑状況の把握
  • 来店客の動線分析

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画像解析の技術は今後ますます発展へ


様々な分野での開発・導入が進む画像解析技術ですが、例えば顔認証を使ったシステムは実証実験(PoC)段階止まりのものが多く、まだまだ発展途上でもあると言えます。

AIによる画像解析技術は人手不足やヒューマンエラーの解消、コスト削減、生産性向上に期待できる存在ですので、今後ますます幅広いシーンで導入・開発が進んでいくでしょう。

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