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2024年03月22日

  • コラム

Raspberry Pi®(ラズベリーパイ®)で何ができる?ラズパイの活用事例と産業用途での注意点について

Raspberry Pi®(ラズベリーパイ®)で何ができる?ラズパイの活用事例と産業用途での注意点について

低コストでシンプルながらも高い拡張性を持つ小型コンピューター「ラズベリーパイ®(Raspberry Pi®)」。近年では産業用途でも注目を集めているこのラズベリーパイ®ですが、具体的には何ができるのでしょうか?

そこで今回は、

「そもそもラズベリーパイ®で何ができるのか知りたい」
「趣味だけでなく、ビジネスの現場にも対応できるのか」
「産業用として利用する際の注意点は?」

…などとお考えの方に向けて、ラズベリーパイ®で何ができるのか、また、ラズベリーパイ®をビジネスの現場に導入する際の注意点についても解説していくので、ラズパイ導入を検討されている方はぜひ最後までご覧ください。

ラズベリーパイ®(ラズパイ)とは?

「ラズベリーパイ®(Raspberry Pi®)」とは、手のひらサイズのプリント基板の上にCPUやコネクタ、入出力に必要なインターフェースなど、最低限の機能を搭載した小型コンピューターのこと。

日本では「ラズパイ」と略称で呼ばれることが多く、世界規模で見ても2022年に世界累計出荷台数が4,600万台を突破するなど、IoT開発の分野で注目が集まっているコンピューターの1種です。

このラズベリーパイ®は、もともと2012年の2月にイギリスの「ラズベリーパイ財団」によって教育用コンピューターとして発売されたもので、安いものなら1,000円程度、最新モデルでも1~2万円程度と一般的なパソコンと比較しても安価で購入することができます。ですので、その手軽さからプログラミング学習や趣味で行う電子工作のほか、近年では不良品検査や機器の制御・管理など、産業面での活用も進んでいます。

関連記事:「Raspberry Pi®(ラズベリーパイ®)とは?IoT開発も可能なラズパイの特徴や使い方

ラズベリーパイ®で何ができる?:身の回り・生活

手のひらサイズの小型コンピューター「ラズベリーパイ®」ですが、どのような用途・目的で使われることが多いのでしょうか?
ここでは、ラズベリーパイ®を使って何ができるのか、数多ある用途のうち私たちの身の回りの活用例についていくつかご紹介します。

プログラミング学習

ラズベリーパイ®はもともと教育用コンピューターとして開発されたものなので、既に学習用の環境が構築されており、初心者でもすぐにプログラミング学習を始めることが可能です。

また、ラズベリーパイ®には“Python(パイソン)”と呼ばれるプログラミング言語がインストールされているほか、パソコン同様にJavaやScratchなどの言語を使うこともできるため、目的に合わせたプログラミングを学習することができます。

ドライブレコーダー

ラズベリーパイ®にカメラモジュールを組み合わせれば、ドライブレコーダーの作成もできます。
静止画撮影や動画撮影も可能、どのタイミングで撮影するかプログラミングしておけば、もしもの際の記録にもなります。

スマートホーム

スマホや音声などでデバイスをコントロールするスマートホームですが、このスマートホームもラズベリーパイ®を使ってできることの一つ。例えば、エアコンや照明などの家電の調整、子供・ペットの見守り、ドアロック解除など、ラズベリーパイ®を使って制御することが可能です。

音楽プレイヤー

音楽プレイヤーもラズベリーパイ®を使ってできることの一つとなります。ラズベリーパイ®に必要なプログラムを打ち込んで音楽再生ソフトをインストールすればMP3ファイルの再生ができるため、その機能を活用すればコンパクトな音楽プレイヤーが完成します。

また、同様に必要なソフトをインストールするなどで、ラジオや携帯ゲーム機、デジタルフォトフレームなどを作ることも可能です。

ラズベリーパイ®で何ができる?:IT・通信

ラズベリーパイ®で何ができる?:IT・通信

では次に、IT・通信の分野においてラズベリーパイ®に何ができるのかを紹介していきます。

サーバー

ラズベリーパイ®は省電力での動作するため、Webサーバーやファイルサーバーとしても活用できます。
例えば、Webサイトのテスト環境として利用したり、社内のデータを管理するファイルサーバーとして使ったりするなど、もちろんセキュリティ面での対策が必要ですが、ラズベリーパイ®にサーバーを構築することで安価に独自の環境を設定することができます。

オンラインストレージ

クラウド上にデータを保存するオンラインストレージも、ラズベリーパイ®でできることの一つです。
オンラインストレージを構築するためのソフトをインストールすれば、インターネット上にストレージが構築できるため、リモートワークでも取引先とのやり取りでも利用することができます。

メールの送受信

ラズベリーパイ®にできることの中には、メールの送受信もあります。ラズベリーパイ®にメールソフトをインストールすることで、テキストや画像などのデータの送受信が可能。設定すればGmailやLINEにメッセージを送信することもできるため、社外のデバイスからメールチェックを行いたい時や、機器制御と併せてアラートを送信する際にも活用できます。

ラズベリーパイ®で何ができる?:産業用途

ラズベリーパイ®で何ができる?:産業用途

身の回りの生活やITの分野でできることについてまとめてきましたが、ラズベリーパイ®は産業用途として何ができるのでしょうか?代表的な例をまとめていきます。

防犯・監視カメラ

ラズベリーパイ®とカメラを組み合わせることで、防犯・監視カメラを作ることも可能。どのタイミングで撮影するかなどをプログラミングしておけば、特定のエリアの監視や防犯に役立てることができます。また、前述のメール送信のように、カメラが不審者を検出した際にアラートを発報するシステムを組んでおけば、セキュリティ対策としても有効です。

なおラズベリーパイ®では、カメラモジュールのほかにAIカメラなどのUSB接続のカメラも利用できるため、用途や目的によってカメラの種類を選ぶ必要もあります。

不良品検知・外観検査

ラズベリーパイ®とカメラを組み合わせた活用方法は、工場や倉庫における不良品検知や外観検査にも有用です。

例えば、ラズベリーパイ®に組み込んだカメラで製造ラインを撮影し、傷や欠けなどがある不良品を検知するというシステムを構築することも可能。一般的な不良品の検知システムを導入するより、低コストで検品作業や外観検査を自動化することもできます。

顔認識・人物検出

AIカメラをラズベリーパイ®に接続することで、顔認識や人物検知、物体検知などを行うことも可能。前述のような防犯・監視カメラやオフィスの入退室管理、また、マーケティングリサーチとして店舗の顧客属性や動線などを調査する際にも活用できます。

なお、AIカメラで何ができるのかについては、こちらの「AIカメラにできることは?検知の種類を知って業務の効率化を実現!」でも詳しく解説しています。

産業用ロボット

産業用ロボットもラズベリーパイでできることの一つです。例えば、ラズベリーパイをロボットアームと組み合わせて制御することで、工場における部品の組み立てや整理など、作業用のロボットとして使うことも可能です。

設備や機器の制御・管理

ラズベリーパイ®を使えば、設備や機器の制御・管理も可能です。例えば、ラズベリーパイ®に温度センサーを接続することで機器や設備の温度が上がりすぎていないかを管理することができます。また、センサーと前述のロボットのような動作の仕組みを構築しておくことで、ドアの開閉やモーターの制御なども可能となります。

なお、IoTで活用できるセンサーの種類については、こちらの「IoT端末ってそもそも何?その役割やセンサーの種類・活用例とは」で詳しく解説しています。

ラズベリーパイ®(ラズパイ)を導入する際の注意点

ラズベリーパイ®(ラズパイ)を導入する際の注意点

ここまでラズベリーパイ®で何ができるのかを例を挙げながら解説してきましたが、産業用途として実際の業務にラズベリーパイ®を導入する際には、どのような点に注意すれば良いのでしょうか?

趣味や教育用として使う場合はそれほど気にする必要はありませんが、産業用として業務に使用する場合はいくつか注意点がありますので、代表的なものをまとめていきます。

周辺機器の準備が必要

シリーズやモデルによって異なりますが、ラズベリーパイ®は最低限の機能しか搭載されていないため、利用の際には、本体以外にもラズベリーパイ®を拡張するための周辺機器を準備する必要があります。

例えばキーボードやマウス・ディスプレイのほかにも、OSをインストールするためのmicroSDカードやネットワーク機器、情報を収集するためのカメラやセンサーなど、目的や用途によって必要になる機器も違うため、ラズベリーパイ®の種類と併せて「どのデバイスが必要か」「デバイスのスペックはどの程度必要か」なども検討しておきましょう。

熱暴走対策を行う

ラズベリーパイ®には熱に弱いという特性があるため、温度や湿度など運用する際の環境とハードウェアの動作基準が合っているかを確認しておきましょう。

特に高温になるとシステムが暴走したり、最悪の場合は部品が故障してしまったりすることもあります。ですので、熱暴走の可能性がある場合は、放熱・排熱を行うヒートシンクやファンを取り付けたり、一定以上の温度になるとCPUの周波数を落とすプログラムを組み込むなどの対策が必要です。

電源周りを強化する

ラズベリーパイ®を産業用として活用する場合、電源周りに不安が残るため、安定した電圧が常時供給できるように場合によっては電源回路を改良する必要があります。

また、過電流や過電圧にも注意が必要です。例えば落雷や停電の復旧時など、一時的な過電流や過電圧によって負荷がかかり、故障してしまう可能性もあるため、サージ対策も必要です。

ノイズ・静電気対策が必要

ラズベリーパイ®本体には最低限の機能しか搭載されていないこともあり、別途、利用者側でノイズや静電気対策を行う必要があります。

特にラズベリーパイ®のGPIOはノイズ耐性が低いため、場合によってはデバイスからの信号にノイズが乗ってしまい、誤作動を起こしてしまう可能性があります。また、Wi-Fi 2.4GHzと干渉してしまうUSB3.0を使ったデバイスにも注意が必要です。その他、静電気によっても部品が故障してしまう可能性もあるため、静電気の防止対策も併せて行いましょう。

アナログ信号には対応していない

ラズベリーパイ®にはA/Dコンバーターが搭載されていないため、アナログ信号に対応していない点も注意が必要です。
厳密にいえば、「Raspberry Pi Picoシリーズ」はアナログ信号にも対応していますが、その他の「Raspberry Pi シリーズ」や「Raspberry Pi Zero シリーズ」など、ほとんどのシリーズ・モデルが非対応なので、アナログ信号を利用する場合はA/Dコンバーターが搭載されたラズパイ用拡張ボードを利用するなどの対応が必要となります。

関連記事:「ラズベリーパイ®(ラズパイ)の5つの種類|用途ごとのモデルの選び方は?

ラズベリーパイ®(ラズパイ)の活用ならパナソニック発のVieurekaへ!

低コスト・高い拡張性などメリットが多く、既に産業用途としても活用が進んでいるラズベリーパイ®。
しかし、もともとは趣味や教育用として開発されたものであること、また、実際の現場に導入するには今回ご紹介したような対策が必要なこともあり、運用・品質の面で不安を感じる方も少なくありません。そういった場合は、ラズベリーパイ®の特性を十分に理解している専門家と相談しながら導入を検討するのがおすすめです。

パナソニックの研究開発部門から発足した私たちVieureka(ビューレカ)であれば、ラズベリーパイ®のデメリットとなり得る部分に対策が施せるだけでなく、デバイスの稼働状況・CPU使用率・CPU温度など、遠隔からの一括管理も実現。さらに、取得したデータの可視化・ダウンロードもクラウド経由で効率的に行うことができます。

お客様のご要望や課題に合わせたご提案をさせていただきますので、ラズベリーパイ®の運用・管理にお悩みの場合は、ぜひ一度、私たちVieurekaにお問い合わせください。

※「Raspberry Pi」、「ラズベリーパイ」はRaspberry Pi財団の登録商標です。